解決実績
- 古賀克重法律事務所 交通事故法律相談 TOP >
- 解決実績 >
- 自動二輪車を運転してツーリング中、センターラインをオーバーしてきた車両と衝突して死亡した
示談金額 8500万円 自動二輪車を運転してツーリング中、センターラインをオーバーしてきた車両と衝突して死亡した
論点
- 死亡逸失利益
- 生活費控除
- 一家の支柱
事案の概要
男性(40代)が福岡県内の山間の国道を自動二輪車を運転してツーリング中、中央線を越えて走行してきた車両と衝突したものです。
男性は救急搬送されましたが、外傷性クモ膜下出血・全身多発骨折等によって死亡しました。
弁護士特約を利用したご遺族より依頼を受けました。
相手方保険会社と示談交渉を行った結果、死亡慰謝料2800万円、死亡による逸失利益6000万円まで引き上げがあり、訴訟を回避して示談成立したものです。
ポイント
後遺障害事案ですと将来の治療費や将来の介護費用などが大きな争点となります。これに対して死亡事案の場合には死亡慰謝料・死亡による逸失利益が争点となることが多くなります。
まず「死亡慰謝料」について当初は低額の提案でしたが、刑事事件となり、ご遺族が強い処罰感情を示していたこともあり、交渉によって引き上げられました。
次に「死亡による逸失利益」としては、生活費控除が問題となりました。
つまり逸失利益は、基礎収入額×(1-生活控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数によって算定されます。
損益相殺的な考え方から生活費を控除すべきというのが大審院以来の判例です。控除される生活費は稼働可能期間中のものとされています。
具体的な生活費控除の割合を何%にするかは、例えば、赤い本などの公刊物において、男性(独身、幼児等を含む)50%、女性(主婦、独身、幼児等を含む)30%、一家の支柱で被扶養者1人の場合は40%、一家の支柱で被扶養者2人の場合は30%とされており、裁判例もおおむねこれに従っています。
「一家の支柱」と評価できるか、「被扶養者」は何人と評価すべきかという点が実務で争点になることも少なくありません。
本件は40代の男性と高齢の両親の3人家族であり、男性として50%とするか、一家の支柱・被扶養者2人として30%とするかが争点になりました。
裁判例としては31歳独身男性のケースについて、母一人・子一人の生計について「一家の支柱」と評価すべきとして生活費40%と認定した平成17年8月26日大阪地裁判決、50歳男性のケースについて、同居の妻だけでなく別居の母についても相当額の金員の仕送りをしていたことから生活費35%と認定した平成14年1月17日東京地裁判決などがあります。
被害者が住宅ローンを組んで自宅を建てた上、両親と同居してローン含めて全て支払っていたこと、両親は年金生活であり日々の家計は被害者が支出していたことなどを立証した結果、相手保険会社も歩み寄り合意に達したものです。
雑感
働き盛りの息子を失った両親の悲嘆は大きなものであり、弁護士と手続きをしていくのもつらい状態でしたが、他の親族が窓口にとなり懸命に両親をフォローした結果、非常にスムーズに交渉できた事案でした。
同時並行的に進んだ刑事事件についてもアドバイスしつつ、粘り強い交渉を行った結果、相手保険会社からも相当程度の上積みがあって解決できた事案であり、ご両親・ご家族にも喜んでいただけた事案でした。