古賀克重法律事務所交通事故法律相談

解決実績

古賀克重法律事務所 交通事故法律相談

和解金額 1500万円 舟状骨骨折後の足関節機能障害として後遺障害12級が認定され、申告額を超える収入を立証し基礎収入とされた

論点

  • 舟状骨骨折後の足関節機能障害の後遺障害
  • 休業損害・後遺障害逸失利益の基礎収入の認定

事案の概要

依頼者(30代男性・会社員)がバイクで青信号に従って交差点を直進したところ、対向車線から右折してきた相手方車両が一方的に衝突した結果、依頼者に対して1年を超える長期入院治療を要する骨折等の傷害を負わせたものです。

相手方保険会社が自賠責保険からの既払い額を超える損害はないと示談を拒否。そのため当方が福岡地方裁判所に提訴して、「後遺障害の認定」、「基礎収入の認定」が大きな争点になりました。
裁判所の和解案はほぼ当方主張を採用して、既払金を除いて1500万円を支払う内容にて和解成立しました。

ポイント

まず相手方保険会社は、第三者の専門医の医学意見書を提出するなど後遺障害自体が存しないと主張しました。
これに対して、当方は、診療録を詳細に分析し、事故直後から症状固定まで一貫して可動域に制限が残っていることを丁寧に準備書面で主張し立証しました。人身の発生した交通事故訴訟では診療録を文書送付嘱託によって取り寄せて証拠提出することになります。裁判所も膨大な診療録を一から読むことはしませんから、被害者側の弁護士は丁寧に自分の目で読み取り、ポイントを準備書面にくくりだす必要があるのです。
その結果、裁判所は、舟状骨骨折後の足関節機能障害として後遺障害12級を認定しました。

また相手方保険会社は、実際の申告所得は100万円程度しかない以上、休業損害・後遺障害による逸失利益は既払金を超えるものでないとも主張しました。実際の支払額に大きく影響するため、相手方保険会社も最後まで強く固執した論点になりました。
しかしながら、例えば、損害賠償額算定基準(いわゆる赤本)の裁判官の講演録では、「基礎収入額を得ることのできる蓋然性が認められるかの判断は、被害者の年齢、事業内容、就業状況、収入状況を基礎とし、従前からの売上等の事業の推移を踏まえつつ、事業を取り巻く環境等をも勘案しながら、賃金センサスの収入額をにらみつつ、実質的に、しかし、比較的柔軟に判断することもあるというのが実務的な傾向」と指摘されています。
関連した裁判例も多数あり、例えば、平成26年10月31日大阪地裁判決(自保ジャーナル1938号53頁)は、「自営業者の基礎収入については売上金額から流動経費を控除した額(すなわち、売上から全ての経費を控除した所得に固定経費を加えた額)を基礎とするのが相当である」として、後遺障害逸失利益の基礎収入として、固定経費を加算した額を認定しています。
本件では多数の裁判例の中から類似の裁判例を指摘して法的主張を丁寧に行った上で、依頼者の業務の特殊性、過去の申告書類の会計的な分析を展開しました。相手方はそれでも納得せずに細かな求釈明(質問)を連発しましたが、当方は、依頼者と打合せの上、逐一、主張・反論を続けました。
その結果、裁判所の示した和解案では、当方のほぼ主張通り、年額400万円が基礎収入と認定されたものです。

雑感

提訴から1年半で和解に至りました。
被害者はご家族を抱えて後遺障害による支障と収入の減少に苦しんでおられた事案です。
ところが示談段階では保険会社は、「自賠責保険の既払金を超える損害はない」というスタンスであり、ほぼ0回答だったためにやむなく提訴。依頼者と申告書類の分析などを丁寧に行った結果、非常に良い解決になり、喜んでいただけた事案でした。
このように相手方保険会社がシビアに争ってくる事案こそ、交通事故に精通した弁護士の腕の見せ所になると改めて責任とやりがいを感じた事案になりました。

お問い合わせ

初回相談無料、ご相談は土日・時間外もご対応可能です。
お電話・オンラインでのご相談も可能です。まずはお気軽にご相談予約、お問い合わせ下さい。

お問い合わせはこちら