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- 20代男性が原付バイクで直進中、路外駐車場に進入するため左折した車両に巻き込まれて死亡した
示談金額 7500万円 20代男性が原付バイクで直進中、路外駐車場に進入するため左折した車両に巻き込まれて死亡した
論点
- 死亡による逸失利益
- 若年労働者の基礎収入
- 独身男性の死亡慰謝料
- 死亡事案における受傷から死亡までの損害
事案の概要
依頼者(20代男性)が原動機付バイクで直進中、路外に出るために後方の安全確認不足のままいきなり左折した車両に巻き込まれて死亡したものです。
死亡による逸失利益、死亡による慰謝料等について裁判基準まで提案を引き上げ、7500万円にて示談成立しました。
ポイント
将来を嘱望された若年の独身男性が死亡したケースであり、残されたご家族の悲嘆には大きなものがありました。一方で「できれば裁判を避け早期に解決し墓前に報告したい」というお気持ちもありました。
そこで示談交渉における方針としては、できうる限り裁判基準(弁護士基準)に近い損害額を求め、ぎりぎりまで粘り強く交渉することにしました。
まず損害額として一番大きいのは「死亡による逸失利益」でした。事故前の現実の収入額は決して多くない被害者でしたが、30歳未満の若年労働者であることから、学生との均衡を図るために全年齢平均の賃金センサスを採用すべきと主張しました。そして賃金センサス第1巻第1表の産業計・企業規模計・学歴系・男性全年齢平均を基礎収入にし、労働能力の喪失期間は67歳までとして算定した約4500万円の請求を行い、最終的に全額認定されました。
つぎに、「死亡による慰謝料」は当初1000万円台の提示でしたが、交渉の結果、2500万円まで引き上げました。損害賠償額算定基準(いわゆる赤本)では「2000万円から2500万円」とされており、裁判基準に達した金額であると評価できました(なお裁判になれば、親族固有の慰謝料として別途一人100万円~300万円の慰謝料額が加算される余地がありますが、一方、本件では過失割合についても争いがあり、示談を前提に相手方が譲歩してきているという事情がありました)。
さらに救急搬送後、被害者は死亡するまで入院治療を行っていました。相手方保険会社からの当初の提示では全く反映されていませんでした。そこで、家族の交通費、入院雑費、介護料、本人の入院慰謝料などを細かく算定して積み上げて請求することにしました。この点についても相手方保険会社が最終的に全額認定しました。
雑感
当初の保険会社の提示額は、いわゆる任意保険会社の基準でありかなり低い額でした(死亡による慰謝料1000万円台など)。ご家族のご希望を踏まえつつ、相手方保険会社とも密に折衝することにより妥協点を探っていきました。
「訴訟までするか、示談するか」は、損害額はもちろん家族のご負担・お気持ちなども考慮して決めて頂くことになります。その前提として訴訟のメリット(遅延損害金・弁護士費用・近親者固有の慰謝料の加算見込み)とデメリット(1年前後の時間がかかること、訴訟費用がかかること、相手方が過失割合について示談の提案よりも争う意向であること)を丁寧にご説明しました。
最終的に相手方保険会社も、遅延損害金・弁護士費用の加算を考えると早期示談しようという方向性になり、総額も一気に引き上げられて示談にまで至ったものです。
その過程では「被害者家族は金額だけを訴求しているのではなく、合理的な金額であれば受け入れる余地がある」ことも保険会社に説明して理解を求めていくことによって早期に高水準にて示談成立したケースになります。